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税務コーナー

相続税対策の注意点

第4回 親子間のお金の貸し借りと贈与税の関係

掲載日:2016/07/25

今回のテーマは、親子間でのお金の貸し借りと相続税・贈与税の関係です。

お金の貸し借りは、場合によっては贈与とみなされることもあります。どのような場合が贈与となるのか、貸し借りと認定される要件とは何か、以下の事例で分かりやすくご説明します。

例1

私は不動産貸付を営む個人事業主で、来年貸付物件の大規模修繕を行なう予定です。総額500万円支払う予定ですが、利息分がもったいないので銀行はなく親から借りることにしました。

借りた証明は借用書を用意すればよろしいですか?

親子間のお金の貸し借りは、よく見受けられる事例です。税務署では、新築すると暫くしてから新増築のお尋ねという文章で資金源の問い合わせをすることがあります。そこに、親子間の貸し借りを記入すると、税務署から呼び出し等があり詳細な説明を求められます。その内容は、①資金の出所(誰の預金か、どのようにして貯めた預金かなど)、②金銭の契約書の有無、③返済期限と利息、④返済方法、といったものです。

その時の説明が、有るとき払いの催促なしや出世払い、将来貯めてからの一回払いだったりすると、「貸し借りではなく贈与ではないか」「そうであれば贈与税の申告が必要だ」と強く言われます。

今回の質問者は、「不動産貸付を営む個人事業主」の方で「貸付物件の大規模修繕」を行なう予定とあります。税務署では、多額の修繕費が計上された申告書が提出されると、全額費用ではなく資本的支出として減価償却の対象ではないかということで調査に出向くことが多々あります。その際に、資金の出所等を聞かれ、前述のような説明を求められ、実質親から貰ったものではないか、つまり親からの贈与ではないかと言われます。

贈与ではないとするためには、借りたという説明・立証をしなければなりません。

具体的には、①親の預金の出所を明確にしておき、②金銭の借用書を作成しておく。借用書には、③返済期限と利息(一般の銀行の借入利息に近い利息、例えば変動金利など)、④どのように返すのか(自分の口座から親の口座に毎月末、元金+利息を振込する)、といった返済計画を記載しており、実行されていることが必要です。

なお、親は子からの受取利息を雑所得として所得税の申告をしなければなりませんので注意して下さい。

例2

私は不動産貸付を営む個人事業主で、来年貸付物件の大規模修繕を行う予定です。総額1,200万円支払う予定ですが、息子が貸すと言うので息子から借りました。

息子が多額のお金を持っているのは、3年前に夫が死亡した際に預金を相続したからです。私が完済するまでに死亡したら、借金はどうなりますか?

死亡時点での残額が、息子からの借入金として、相続時の債務となり相続税の債務控除対象となります。

つまり、相続財産から借入金残額を引けることとなります。

ただし、親子間の貸し借りですから、前問のように、1,200万円が息子からの借入金であって、息子からの贈与ではないという説明ができることが前提です。資金の出所は、お父さんからの相続した預金なので明確であり問題ありません。次に、お母さんが息子から借りて返しているという事実関係を残しておくことが必要です。具体的には、前問の回答同様、借用書を作成したうえで元金+利息の振込返済を継続している場合に借入金の残額が相続税の債務控除対象となります。

実際の遺産分割協議では、息子が他の相続人に金銭の借用書を提示し、母に対する大規模修繕費用として貸し付けた1,200万円の死亡時の未返済残額を、母の預金から返してもらうことになると思います。

なお、息子さんは、利息部分を毎年雑所得で所得税の申告をしておくことが必要です。

執筆: 税理士 石倉祐司

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