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複式簿記1

超簡単!税情報 2004年9月19日発行(第114号)

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   □□□「超簡単!税情報 初心者のための税のいろは」□□□

発行元:社団法人 杉並青色申告会 2004/9/19 No114   読者数:4093
https://www.aoiro.org/

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皆さん、こんにちは。一日一日と秋の気配が感じられるようになってきました。
テレビでも紅葉の特集をするようになりました。秋の楽しみ方は色々あります
が、私はなんといっても食欲の秋です。また、大好きなカワハギ釣りも最盛期
に入ってまいります。いつか釣果についてもご報告したいです。

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┃■身近な税の話   「複式簿記1」                 ┃
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今回から先日行なった複式簿記説明会のダイジェストを数回に分けてご紹介し
たいと思います。
 
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青色申告特別控除の改正(平成16年度税制改正)
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平成16年度税制改正により、青色申告の大きな特典の1つである青色申告特別
控除が大きく変更されました。
 
<平成16年分まで>
平成16年分までは以下のように青色申告特別控除額が3種類あります。
 
(55万円控除)
事業所得者や一定規模以上の不動産所得者が日々の取引を正規の簿記の原則に
したがって記帳し、期限内に損益計算書と貸借対照表を確定申告書に添付して
提出すると、55万円を所得金額から控除できます。
 
(45万円控除)
事業所得者や一定規模以上の不動産所得者が日々の取引を簡易な簿記の方法に
よって記帳し、期限内に損益計算書と貸借対照表を確定申告書に添付して提出
すると、45万円を所得金額から控除できます。
 
(10万円控除)
55万円・45万円の控除を受けていない人(貸借対照表を提出しない人や小規模
な不動産所得者)は10万円を所得から控除できます。
 
<平成17年分から>
平成17年からは以下のように青色申告特別控除額が2種類になります。
 
(65万円控除)
事業所得者や一定規模以上の不動産所得者が日々の取引を正規の簿記の原則に
したがって記帳し、期限内に損益計算書と貸借対照表を確定申告書に添付して
提出すると、65万円を所得金額から控除できます
 
(10万円控除)
65万円の控除を受けていない人(貸借対照表を提出していない人や小規模な不
動産所得者)は10万円を所得から控除できます。
 
 
つまり「45万円控除」が廃止となり、「55万円控除」が「65万円」に増額
されます。これにより今まで「簡易な簿記の方法」で記帳し、45万円控除の適
用を受けていた人は平成17年より複式簿記に移行して「65万円控除」の適用を
受けるか、今までどおりの記帳方法で「10万円控除」の適用を受けるかの二者
択一になります。
 
65万円と10万円ではその差が55万円あり、税額で換算すると税率が10%だとし
ても55,000円の違いが有ります。しかもこれは「所得税」だけの計算であり、
「住民税」や「国民健康保険税」を含めると10万円前後の違いとなります。
 
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記帳の目的
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所得(儲け)を正しく計算し、決算・確定申告を行うためには「記帳」は必要で
す。しかしもっと大切なことは事業の維持発展を図るために、数字に基いて過
去の事業活動を反省するとともに、将来に備えての体制作りが不可欠です。そ
のために「記帳」が必要となるのです。

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複式簿記とは
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複式簿記とは、損益計算書と貸借対照表が作成できるように考えられた(仕組ま
れた)簿記です。したがって、収入と経費だけではなく事業上の全ての資産・
負債・資本(元入)の増減を記録します。複式簿記では、全ての取引を必ず2つ
以上の帳簿(勘定)に記入します。こうすることにより損益計算書と貸借対照表
が自動的に作成できます。
 
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簡易簿記とは
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簡易簿記とは、損益計算書が作成できるように考えられた簿記です。
したがって、全ての収入と経費は記録しますが、資産と負債は損益計算書の作
成に必要な項目のみを記録します。
簡易簿記では、損益計算書に関係しない資産や負債については記録を省略する
ので、1つの取引は2つの帳簿に記入する場合と1つの帳簿のみに記入する場合
があります。

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取引の記録における簡易簿記と複式簿記の違い
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<複式簿記>
(ア)現金の入出金
(イ)預金の預け入れと引き出し
(ウ)手形の債権債務
(エ)売掛・買掛
(オ)その他の債権債務
(カ)減価償却資産
(キ)その他棚卸資産以外の資産
(ク)引当金・準備金
(ケ)元入金
(コ)売上
(サ)売上以外の収入
(シ)仕入
(ス)仕入れ以外の経費
 
<簡易簿記>
(ア)現金の入出金
(エ)売掛・買掛
(カ)減価償却資産
(ク)引当金・準備金
(コ)売上
(サ)売上以外の収入
(シ)仕入
(ス)仕入れ以外の経費
 
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Q.不動産貸付をしていますが、65万円控除が適用できる「一定規模以上」につ
いて教えて下さい。

A.
「一定規模以上」とは特に反証がない限り、通常次により扱われています。

1)貸室、アパート等については、貸与することができる独立した部屋数がおお
むね10室以上。

2)独立した家屋の貸付は、おおむね5棟以上。

3)土地の貸付は、おおむね50件以上。

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次回は複式簿記の仕組みについてお話します。

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東京国税局長より設立許可を受けている公益団体です。
役員は会員の中から選ばれ、ボランティアで会の運営にあたっています。
会員の疑問や相談に応じるため事務局に職員をおき、
税金問題をはじめ、様々な相談に応じています。
主な会員層は小規模事業者であり、記帳指導をはじめ、
税務・法律・経営・金融・労務ほか旅行・共済などの福利厚生事業も
幅広く行っています。

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