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個人事業者のための消費税16~事業免税点の引き下げ~

超簡単!税情報 2003年11月16日発行(第74号)

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   □□□「超簡単!税情報 初心者のための税のいろは」□□□

発行元:社団法人 杉並青色申告会 2003/11/16No074  読者数:2110
https://www.aoiro.org/

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皆さん、こんにちは。 11/13(木)産業商工会館という杉並区の施設で「相続
税・贈与税における相続時精算課税制度説明会」を開催しました。多数の質問
がでて時間を延長する、活気あふれた説明会となりました。参加者の帰るとき
の顔は非常にすっきりとしたものでした。この報告は近日中にホームページに
掲載したいと思います。

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┃■身近な税の話「個人事業者のための消費税16~事業免税点の引き下げ~┃
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今回は平成15年度税制改正で、納税義務が免除される基準期間における課税売
上高の上限が1,000万円(改正前3,000万円)に引き下げられたことについてお
話します。

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消費税の課税事業者が増大する
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上記のとおり消費税の課税事業者となる基準が3,000万円超から1,000万円超に
引き下げられたことにより、課税事業者が大幅に増大すると思われます。当会
の会員でいうと、課税事業者はおそらく5~6倍程度に増大すると予想されます。

そういう中で、多くの人が最初に本則課税が良いのか簡易課税が良いのかの選
択を迫られます。本則課税と簡易課税で税額がほとんど変わらない人もいれば、
20万円、30万円とかわる人もいます。まず、本則課税と簡易課税の仕組みとそ
れぞれのメリット・デメリットを把握して、自分の

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本則課税の納税額(予想)と簡易課税の納税額(予想)を知る
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ことが大切です。

その次に検討しなければならないのが届出です。

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届出の管理、提出期限が非常に重要です。
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届出で何が重要かというと、提出期限です。次の届出書の提出期限はいずれも
選択等をしようとする「課税期間の初日の前日まで」となっています。

「簡易課税制度選択届出書」
「簡易課税制度選択不適用届出書」
「課税事業者選択届出書」
「課税事業者選択不適用届出書」
「課税期間の特例選択届出書」
「課税期間の特例選択不適用届出書」

提出期限を守らないとその制度の選択が適用(不適用)できなくなり思わぬ不
利益を受けることにもなりかねません。

例えば平成17年から課税事業者として上記の選択適用(不適用)を受けようと
すると、平成16年12月31日が提出期限となります。

また、簡易課税制度や課税事業者、課税期間の特例等を1度選択すると2年間は
継続しなければなりません。なお、1度「選択届出書」を提出すると「選択不
適用届出書」を提出しない限りは選択が継続します。

例えば、以前消費税の課税事業者で簡易課税を選択していた者が、その後課税
事業者でなくなったが、今回の改正でまた、課税事業者となった場合、今まで
に「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出していなければ、現在もまだ簡易
課税の選択が継続します。簡易課税をやめて本則課税を選択したい場合は平成
16年12月31日までに「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出しなければなり
ません。

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以前、消費税を申告していて、今回の改正でまた課税事業者になった人は特に
注意が必要です。
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しかし今回の改正で特例があります。
平成16年が免税事業者で、今回の改正の課税最低限が1,000万円へ引き下げられ
たことにより平成17年度課税事業者になる事業者が平成17年度から簡易課税を
選択する場合には、平成17年12月31日までに「簡易課税制度選択届出書」を提
出すれば認められる特例制度です。ただ、上記の条件に当てはまらない場合は
使えませんので、基本的には平成16年12月31日までに届出は提出するように準
備しましょう。

また、届出だけではなく記帳についても注意する必要があります。
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本則課税の場合は「課税仕入れ等に係る消費税額の控除」を受けるためには、
原則として課税仕入れ等の記帳と請求書等の保存が必要です。
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上記が無いと、「課税仕入れ等に係る仕入税額控除」が認められなくなる場合
もあります。

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簡易課税の場合は、課税売上げを第1種事業から第5種事業までの業種区分に分
けて記帳する必要があります。
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上記の区分を行わないと、課税売上げの区分のなかで最も低い事業区分で全額
を計算しなければならなくなります。

記帳は税務調査に備える上でも今まで以上に重要になってきます。

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Q.私は美容業を営んでいますが、同業種の人たちは簡易課税が有利だといって
います。私も簡易課税の方が有利なのでしょうか?

A.美容業に関しては一般的には簡易課税が有利だと言われています。しかし、
同業種であっても従業員数、課税売上、店は自己所有か家賃か、高額の資産の
購入計画の有無等で異なりますので自分の営業実態で本則課税と簡易課税のど
ちらが有利か試算してみることが必要です。なかには美容業であっても本則課
税のほうが有利な方もいらっしゃいます。

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長期間に渡り消費税の話をしてきました。お付き合いありがとうございます。
今回の消費税の改正は多くの方々に多大な影響を及ぼします。今回のメルマガ
が少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。

しかし、平成17年に向けた対策の本番は平成16年4月以降です。これからもしっ
かり勉強を続けてください。消費税の話も機会がありましたらまたしたいと思
います。

次回からは年末調整についてお話します。

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