「やよいの青色申告」旧製品をご利用の皆様へ

税務コーナー

相続・贈与の注意点

第9回 税理士による相続の事例(1)連絡を取れない親族がいる場合の準確定申告

掲載日:2018/06/20

Q

私の父はアパート6室を賃貸しており、青色申告で毎年確定申告をしていました。今年3月3日に父が亡くなり、平成29年分の確定申告書をまだ提出していません。相続人は、母と私(長男)、次男の3人ですが、次男とは音信不通で20年間一度も連絡をとれていません。父の平成29年分確定申告をするにあたって、どうしたらいいでしょうか。

お父さんは平成29年分の確定申告書を提出しないまま平成30年3月3日に亡くなったので、平成29年分と平成30年分の2年分の申告を、母、長男、次男の3人の相続人がしなければなりません。

解説

音信不通の次男の氏名も付表に記載

まず、確定申告書を提出する義務のある者が、翌年1月1日から3月15日までの間に確定申告書を提出しないで死亡した場合には、その相続人は、被相続人(お父さん)の所得に係る確定申告書(準確定申告書)を、その相続開始を知った日(一般的には死亡日です)の翌日から4か月以内に、被相続人の納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。ですから平成29年分及び平成30年分ともに、平成30年7月3日が準確定申告の申告納税期限となります。

ところで、準確定申告は3人の相続人が連署により一の書面で提出する必要があります。この確定申告書には「死亡した者の平成29年(30年)分の所得税の確定申告書付表(兼相続人の代表者指定提出書)」を添付しなければなりませんが、他の相続人の氏名を附記して各人が別々に確定申告書を提出することもできます。

ただし、その場合には、遅滞なく他の相続人に申告した内容を通知しなければなりません。

なお、この付表には音信不通の時間の氏名も記載し、押印なしで住所欄に”不明”と記載して提出します。確定申告書付表は、当会ホームページで青色図鑑2017.05のNo.069号を参考にしてください。

法定相続分を申告納税

次男については、失踪宣告の法的措置を取られていなければ死亡したとみなすことはできません。

したがって、お父さんのアパートについては、遺産分割協議がされるまでは、お母さんと長男、次男の共有財産となり、その財産から生じる不動産所得については、法定相続分で所得税を計算し申告することになりますから、お母さんと長男は、自分に帰属する法定相続分に応じて確定申告をすればよいわけです。

なお、次男の所得税の申告は、法定相続分の4分の1を収入として申告することになりますが、お母さんと長男は、次男の財産について何ら権限がありませんので、次男の生死が不明である現状では次男の委任を受けることができず、次男の確定申告書を提出する権限もないものと思われます。

いずれ、税務署から問い合わせ等があるかもしれませんので、次男と按分した所得であることが分かるように書類を整理しておくことが大事です。

執筆: 税理士 石倉祐司

ページトップへ
f