よくある質問
インボイス制度
- 現在免税事業者ですが、インボイス登録はしなくてもよいですか?
登録は任意です。
しかし、以下の影響があると考えられます。
登録をしないと、売上先が課税事業者で本則課税を適用している場合、一部または全ての仕入税額控除ができないこととなり、売上先の消費税の納税額が増えます。
これにより、売上先から取引条件についての見直しや取引を減少される可能性があります。
なお、インボイス制度の実施をきっかけに、売上先から取引条件の見直しがあった場合は、自分自身の仕入れに係る消費税についても同様に、仕入先や外注先などが免税事業者の場合に影響を受けることを考え、売上先との取引とインボイス制度の登録について検討する必要があります。【インボイス制度についてのよくある質問は、順次追加・更新予定です。】
- インボイス制度が始まり、取引先から「値引きして」と言われたら?
インボイス制度が始まると、インボイスを発行しないなら消費税分値引きして欲しい、と言われる可能性があります。
なぜなら、インボイスをもらえない取引先は仕入税額控除の適用が受けられず、消費税額がその分負担増となるからです。不当な値引きは独占禁止法上問題となるので応じる必要はありませんが、双方納得の取引価格であれば、結果的に値引きになることはありえます。
仮に、売上時に100円の消費税を受け取っていて、仕入れや経費で30円の消費税を払っていた場合(課税事業者であれば70円納めるが、免税事業者なので70円は納めていなかった)、100円の値引きに応じると、30円の消費税を負担したままになります。(下記図❶)
値引きに応じず、インボイス発行事業者になれば、100円もらって30円払い、差額70円を納めるので消費税の負担は0円になります。これまでのように70円得することはありませんが、消費税を負担することもありません。(下記図❷)
さらに、仮にサービス業(第五種事業)で簡易課税であれば、100円もらって30円払い、50円(=100円×(1-50%))を税務署に納めて、20円は残ります。
ケースバイケースですが、税負担から見れば消費税分の値引きに応じるよりは、インボイス発行事業者になり、値引きしない方が賢明といえるでしょう。【インボイス制度についてのよくある質問は、順次追加・更新予定です。】
- インボイス交付を受けられない取引はどうすればいいですか?
早めの対応が必要です。まずは取引先としっかり話し合いましょう。
制度開始後インボイスをもらえなかった場合、相手に払った消費税分、値上げされたのと同じことになります。(※経過措置あり)
これは、実質10%(軽減税率対象のものであれば8%)の値上げです。
これまで下請けの外注先に11万円(税込)の仕事をお願いしていた場合、月11万円(税抜き)になります。
売上に対する利益率が10%だったとしたら、利益がほぼ0になってしまうということです。
そうならないためには、主に次の3つの方法が考えられるでしょう。①仕入先にインボイスを発行してもらえるようにお願いする
現時点では、仕入先が免税事業者かどうかわからないですし、免税事業者かどうか聞くことは「売上1,000万円あるか」と聞くようなもので、現実的には難しいでしょう。そこで、全ての取引先に対し、「インボイス登録番号の通知とご依頼について」のようなものを発行してみてはいかがでしょうか(例:下部図) 。
自社の登録番号を通知しつつ、相手に登録番号を教えてくださいというものです。もし登録しない場合にはその旨を伝えてもらうようにすることで、対応を検討できます。
②取引価格の見直し
インボイスを発行してもらえない場合、自社の負担が増えてしまうことを丁寧に説明し、どうしても
発行してもらえないのであれば、取引価格交渉を検討しましょう。取引先にとっては、売上が減るわけですから、まずは経過措置である消費税のうち約20%分の金額交渉をお願いすれば対応してくれるかもしれません。③取引先の変更を検討する
これまでのお付き合いや、すぐに同じ品質の取引先を別に見つけるのは難しいなど問題点は色々あると思いますが、インボイスも発行されず、金額交渉にも応じてもらえない場合には、取引先の見直しも選択肢の一つでしょう…。
なお、自身が簡易課税制度を選択している場合は、仕入税額控除は「みなし仕入率」で行うため、相手からのインボイスは必要ありません。①②③いずれにしても、早めの対応が必要です。
まずは取引先としっかり話し合いましょう。【インボイス制度についてのよくある質問は、順次追加・更新予定です。】
- インボイスがなくても課税仕入れとなる場合とは?
次のような取引は、インボイスを交付することが難しいので、インボイス発行事業者でも、取引の相手側にインボイスを発行しなくてもよいこととなっています。
- 3万円未満の公共交通機関による旅客の運送※1
- 3万円未満の自動販売機や自動サービス機による商品の販売等(コインロッカーやコインランドリーなど)※2
- 郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたもの)
- 卸売市場における生鮮食料品等の販売(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うもの)
- 生産者が農協などに委託して行う農林水産物の販売(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うもの)
※1 3万円未満の公共交通機関による旅客の運送かどうかは、1回の取引の税込価額が3万円未満かどうかで判定します。
1商品(切符1枚)ごとの金額での判定にはなりません。
例えば、東京~新大阪間の新幹線の大人運賃が13,000 円で、4人分の場合には、4人分の52,000円で判定することとなります。
※2 小売店内に設置されたセルフレジを使った販売のように、機械で単に精算が行われているだけのもの、コインパーキングや自動券売機のように代金の受領と券類の発行はその機械で行われるものの資産の譲渡等は別途行われるようなもの、ネットバンキングのように機械で資産の譲渡等が行われないものは、「自動販売機や自動サービス機による商品の販売等」には含まれません。また、次のようなものについては事業の性質上インボイスの交付を受けられませんが、買い手は必要事項を記載した帳簿を保存することで仕入税額控除をすることができます。
- 古物商や質屋などが仕入れる古物、質物
- 従業員に支給する出張旅費、通勤手当
- 中古車販売業者が消費者から仕入れる中古車など
【インボイス制度についてのよくある質問は、順次追加・更新予定です。】