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税務コーナー

相続・贈与の注意点

第11回 税理による相談事例(3)他に相続人がいるとわかった場合

掲載日:2018/10/29

Q

私の父は今年の2月21日に死亡しました。財産は僅かな預貯金と父が住んでいた家と土地があります。母は3年前に死亡しており、相続人は同居していた長男の私(以下「A」という。)だけなので、遺産分割協議書は必要ないと思ってました。ところが、父に前妻との子供(以下「B]という。)がいることが分かり、遺産分割が必要となりました。

Bとは全く連絡が取れないのですが、このまま連絡が取れず遺産分割もできない状態で、相続税の申告はどうしたら良いですか?

回答

Bは父の子であり、当然に相続する権利があるため、連絡がないからといって無視することはできません。そこでBに父の死を知らせて、あなたとBで遺産分割協議を行いその合意を基に相続の申告をすることになります。

仮に、Bに父の死亡を知らせずに相続人があなたひとりであるとした相続税の申告書を提出したとしても、後日税務署から相続人の人数が1人でなく2人だと指摘され遺産分割協議書の提出を求められ、さらにそれに基づいた相続税の申告を求められると思います。

もし、相続税の申告書提出期限の平成30年12月21日までに遺産分割協議がまとまらなければ未分割の申告となり、子ども2人での法定相続分による申告、つまりあなたが1/2、Bが1/2の申告となります。

相続税では、小規模宅地等について課税価格の計算の特例制度があります。お父さんの居住用であった自宅の土地と建物を同居しているあなたが相続すれば、自宅の土地の評価価格は330m2までは80%減額になる特定居住用宅地等の特例が適用できます。

しかし、Bと連絡が取れないまま未分割となった場合、お父さんの居住用の土地については、相続税の申告期限までに遺産分割が終了していないためこの小希望宅地の特例が使えません。

ただし、申告書提出期限までに分割がされていなかったことにより、①「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書とともに提出しているときは、その後3年以内に分割された場合に特例の適用を受けることができ、分割の日の翌日から4か月以内に更正の請求ができます。

さらに、相続等に関する訴えが提起されているなど3年以内に分割できなかったことについてやむを得ない事情があり②「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を申告書の提出期限後3年を経過する日の翌日から2か月以内に所轄税務署長に提出し承認を受けた場合は、判決確定など遺産が分割できた翌日から4か月以内に更正の請求を行うことを条件として、特例の適用を受けることができます。

上記①の分割見込書と未分割の法定相続分による相続税申告書を提出したのちに、後日分割協議がまとまった時は土地評価額が80%減額となる特定居住用宅地等の特例が適用される「構成の請求」を4か月以内に提出することにより税額還付になると思います。

なお、遺産分割が終了するまではお父さんの土地建物の不動産登記の名義変更ができません。今回のようなケースでは、交渉を得意とする司法書士などの専門家に相談依頼し、できれば相続税申告期限内にBに対し相続放棄や遺産分割に応じてもらえるよう手続きを進めていくことが大事だと思います。

執筆: 税理士 石倉祐司

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