お知らせ

令和4年度 中学生による「国の未来と税」受賞作品を掲載しました。

「国の未来と税」

sakubun_r4.jpg

私は小学校で税金について教わったとき、税とは私たちにとって良いものだと感じていた。税によって生活は多方面から支えられている、と習ったからだ。しかし同時に税をよく思わない人もいることを知った。

以前、脱税をした、などの理由でニュースになっている方を見たことがある。そのとき私は、なぜ国民の義務である納税を決められた通りに行わなかったのだろう、と疑問に感じていた。

そもそも税金・脱税とは何なのだろうか。日本国憲法では、私たちが健康で文化的な最低限度の生活をする権利があると定められており、そのような生活をするために国は、公共サービスや公共施設などを提供する必要がある。そのためには必要な費用として使われるのが税金である。

一方で脱税とは、うそや不正行為などによって、本来納めなければならない税金を納めないことだ。つまり、違法な手段で意図的に納税の一部、または全てを免れることを指す。また、令和二年度の脱税告発件数は約七十件で、総額は、六十九億円にものぼるそうだ。

脱税による問題はそれだけではない。日本で少子高齢化が進んでいることは周知の事実であろう。実は、子供の出生率減少に伴い、労働人口も減少しているため、税収入が減少しているそうだ。さらに、高齢になればなるほど医療や介護にかかる税金の支出は増えていく。そのため、国の借金が増えていくという問題も起きている。

今回税について調べ、脱税してしまう原因は、自分の稼いだお金を独占していたい、という欲によるものなのではないか、と自分なりの考えを持つことができた。今まで歩んできた道には、多くの税金が使われている。学校で勉強ができるのも、道路を安全に歩くことができるのも、大きな怪我をしたとき、無料で救急車を利用できるのも、全て税金によるものだ。自分ひとりで生きているわけではない。自分の出した税金は、いつか違う形となって返ってくる。「このお金は誰かの生活を支え、自分も支えられている。」と考えることができれば、税に対する感情も変化していくのではないだろうか。

公正な世にするための税。しかし「公平」ならば全員が「幸せ」だと言えるのだろうか。日本の幸福度は低いことが知られているが、これでは、「公平」と「幸せ」は結びついていない。数十年後、国を引っ張っていく年代である私たちは、この状況を変えていく必要がある。そのためにはまず、税金への正しい理解が必要だ。これらを踏まえ、税のあり方を今一度よく見直し、未来を担う私たちが、公平で幸せな国をつくらなければならないのだと強く感じた。

過去の「杉並青色申告会会長賞」受賞作品